この世に永遠なんてないけど、アカギと鷲巣だけはほぼ永遠
永遠なんてない
この世に永遠なんてない。
きれいな花もいつかは枯れてしまうし、
可愛らしい赤ん坊もしばらくすれば薄汚いオッサンになる。
イケイケの会社もそのうち失速するし、
炊きたてのごはんも放っておけば冷めてしまう。
生あるものはいつしか滅びる。
悲しいことだけど、永遠に続くモノなんてない。ないんだ。
いま一番永遠に近い存在、アカギと鷲巣
永遠なんて存在しないけど、限りなく永遠に近いものがあるとすればコレだろう。
アカギと鷲巣だ。
「カイジ」で有名な福本伸行の作品「アカギ」において、二人はお互いに血を取り合う鷲巣麻雀で果てしない戦いを繰り広げている。
鷲巣が初登場したのは1998年発売の第8巻、先月、最新32巻が発売された。
つまり、アカギと鷲巣は1998年から2016年までかれこれ18年に渡って麻雀を打ち続けている。
正確には途中地獄に行ったりしてたので、ずっと麻雀してたわけではない。読んでない人からすると、途中地獄に行った、と言われても困惑するだけだろうけど、まあとにかく18年以上ずっと戦い続けている。
1998年といえば…
1998年といえば、Googleが設立された年。
アカギと鷲巣が麻雀したり地獄に行ったりしてる間に、Googleはゼロから時価総額世界一位の座をAppleと争うほどの巨大企業に成長したのである。アカギと鷲巣がすごいのかGoogleがすごいのかわからないが、それだけの時間二人は戦い続けている。
1998年といえば、宇多田ヒカルがデビューした年。
宇多田がファースト・アルバムで日本一の売上を記録したときも、結婚したときも、離婚したときも、また結婚したときも、人間活動しているときも、オレンジ色の夕日を隣で見てるときも、ありがとうと君に言われてなんだかせつなくなってるときも、アカギと鷲巣はずっと麻雀したり地獄に行ったりしているのである。
劇中ではたった一晩の出来事、数時間の出来事が、1998年から2016年まで18年間連載されているのだ。そして今も戦いは決着していない。
結末は決まっている
実は勝負の結果はすでに分かっている。
「アカギ」と同じ福本伸行の作品「天」の最後で年老いたアカギが死んでいく姿が描かれている。鷲巣麻雀でアカギは死なない。最終的にはアカギが勝つ。それが結末だ。
まあ、鷲巣麻雀でアカギが死んで、実はその後活躍したのはニセアカギ二世でした、とかだったらそれはそれで面白いけど。
惰性もいいものだよ
現在のアカギの評判はすこぶる悪い。本当に悪い。Amazonのレビューは大体★1つとか2つ。
「引き伸ばしが酷すぎる」という意見が大多数。
確かに分かる。分かるよ。初期の「アカギ」のヒリヒリした緊張感はどこいったんだ、と自分も思う。
死ねば助かるのに…
とか言ってた頃はこんなことになるとは思ってなかった。
それでも、惰性でダラダラ引き伸ばされている「アカギ」も、そんなに嫌いじゃない。変わり続ける時代の中で、めぐりめぐる季節の中で、ずっと同じような戦いを繰り広げている二人を見るとなんかホッとする。
最新32巻も良かった。
鷲巣に振り込んだら死んでしまう状況で、危険牌の北を、
アカギ「切るさ!そこに切る理由があれば…!」
安岡「は?理由?命を賭けて切る理由…理由って何?」
アカギ「それはこの北が」
アカギ(ニヤリとする)
アカギ「邪魔だからさ!」
とか名言っぽいセリフとともに切るアカギ。あの頃の緊張感はもうないけど、変わらねえなあ…と思う。
永遠に続くと思っていたこち亀が終わってしまった今、アカギと鷲巣はずっと仲良くケンカし続けていて欲しい。
もう少し(あと2年くらい?)で終わりそうな感じもするけど…。
(2017/02/12追記)
2018年2月1日で最終回を迎えるそうです…。やっぱり永遠なんてなかったんだ…。