ゴールデンゴールド第3巻、史上最も気持ち悪いシーンに震える
堀尾省太『ゴールデンゴールド』第3巻を読んだ
堀尾省太が月刊モーニングtwoで連載している『ゴールデンゴールド』がおもしろい。前作の『刻刻』は人を選ぶ作品だったが、今作はとっつきやすい。謎が謎を呼ぶ展開ではあるものの、複雑な設定とかルールはない。琉花ちゃんという現代の中学生の女の子の日常がスタートラインなので、すんなりと世界に入り込める。
月刊誌で連載されているため単行本の刊行ペースが遅く、忘れた頃に発売されるが、毎回期待を裏切らないおもしろさ。まあ、まだ3巻までしか出てないんだけど。
最新巻である第3巻のあるシーンが衝撃的だった。
この記事で直接的なネタバレはしないし細かい説明をするつもりもない。…が、もしこの時点で読んでみようかな、と思っている方がいたら、ぜひ先に『ゴールデンゴールド』を読んでいただきたい。何の先入観も持たずに読んだほうが絶対におもしろいはずだ。
公式サイトで第1話が無料で読めるので、あらすじも何も見ずにとりあえず読んでみるとイイと思う。
特に、2巻まで読んだんだけど3巻はまだ読んでないんだよな、という方は、ぜひ先に漫画を読んでいただきたい。こんな感想文を読んでいるヒマがあったら、さっさと本屋に行くかAmazonに注文するかして第3巻を読むべきだ。Kindle版もあるよ。
気持ち悪すぎるよ、あのシーン
で、第3巻である。というか、あのシーン、あのページ、あのコマである。
読んだ方ならきっと同じ感想だと思うが、もうあのコマが気持ち悪すぎる。背筋がゾゾゾっとした。ブルっときた。しばらくのあいだ頭から離れなかった。記憶から消し去りたいと思った。
本当に自分が男で良かった。もし自分が一人暮らしをしている女でアレがずっと下がりっぱなしだったら、次に上げるときが怖くてしょうがない。
造形としては2巻の最後に出てきたヤツのほうが怖いし気持ち悪いんだけど、あのコマの衝撃は段違い。
この巻で初登場した刑事・酒巻がやたら漫画的・記号的なキャラで、ちょっとイマイチだな…と思って読んでいたら、あのコマで一気に目が覚めた。やっぱりこの漫画はスゴイ。
気持ち悪さの理由
もう少しあのシーンについて考えてみたい。
※『ゴールデンゴールド』第3巻を今後読む可能性がある方は、この先は読まなくていいです。大したこと書いてないけど、ネタバレゼロのまっさらな状態でページをめくるほうがいいと思います。
…
さて、あのページのあのコマが何でそんなに気持ち悪かったのか考えてみると、「集合体」と「裏側」という2つの理由があるのではないかと思う。
集合体
これは説明するまでもなく、単純に絵としての気持ち悪さ。
そりゃあんなの見たら琉花ちゃんも卒倒するよ。
個人差があるだろうし全然大丈夫な人もいるかもしれないけど、ブツブツしたものとかウジャウジャしたものに対する嫌悪感は少なからず誰もが持っているものだろう。「集合体恐怖症」という言葉もあるくらいだし。
ちなみに、もしかすると自分は「集合体恐怖症」かも、と思うアナタは、「集合体恐怖症」で検索しないほうがいい。不意打ちで画像を見せられる場合があります。
裏側
初見の衝撃は「集合体」であることが大きな要因かもしれないが、後を引く気持ち悪さは「裏側」にある。
あそこにいるのなら他のところにも隠れているのではないかと想像してしまう恐怖。それまで何とも思ってなかった場所がどこもかしこも疑わしく思えてしまう恐怖。
読者としては、そんな恐怖が自分の生活に入り込んでくる気持ち悪さがある。いろんなものを見るたびにあのシーンを思い出してしまう。
テレビの裏側、冷蔵庫と壁の隙間、閉じたクローゼットの中…。
漫画を読み終えたあとも、一度脳裏に焼き付いてしまったイメージを消すことは出来ない。フクノカミが自分の生活にまで侵食しているような感覚。ふとした瞬間にまた気持ち悪さが蘇ってくる。
第4巻も楽しみ
次はたぶん2018年の夏(秋?)ぐらいまで待たないといけないけど、今から楽しみ。
4巻が発売されたら、また1巻から3巻まで読み返すことになるだろう。
そしてきっとまたあのシーンに震える。その頃には少しは薄れているかもしれない記憶がより強く蘇ってしまうかもしれない。
一度見てしまったら最後。琉花ちゃんがフクノカミから逃れることが出来ないように、読者もあのシーンから逃れることは出来ないのだ。