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創業者ビズ・ストーンがツイッターで学んだいちばん大切なこと

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ツイッター共同創業者のつぶやき

ツイッターの共同創業者であるビズ・ストーンが書いたエッセイ「ツイッターで学んだいちばん大切なこと」を読んだ。

ツイッターの創業者は、ジャック・ドーシー、エヴァン・ウィリアムズ、ノア・グラス、そして、この本の著者であるビズ・ストーンの4人。

CEOが次から次に変わる混乱状態にあるツイッター社のドロドロした内幕を描いた「ツイッター創業物語」も面白かったけど、共同創業者自身が書いたこの自伝はまた一味ちがう面白さがある。陽気でポジティブなビズ・ストーンの人柄が文章にも現れていて、読んでいて疲れない。面白かった。

思い入れを持つことの重要さ

一番心に響いたのが、思い入れを持つことの重要さについて書かれた部分。

ビズ・ストーンは、エヴァン・ウィリアムズがGoogleを辞めて創業したポッドキャストの会社ODEOに参加するものの、自分たち自身がポッドキャストにあまり興味を持てていないことに気づき、新たなサービスを作った。それが後にツイッターになる。

オデオが失敗してツイッターが成功したのは、取り組んでいる人々の思い入れに差があったからだとビズ・ストーンは語っている。

心の中で、これはやってみたいと思っていることがあるとする。どうしてなのか、はっきりわからなくても構わない。うまくいくと保証はできないが、心からこれにかけたいという思い入れがなければ、失敗に終わるのは確実だ。
P84

理想主義的な面もあるかもしれないが、自分が本当に情熱を傾けられることをしているか、信念を持って取り組まなければいけない。

朝、目が覚めて、今から始まる一日にわくわくできないのなら、あるいは間違った道に入ると感じているのなら、この先進むべき道は見えてこない。
P86

真に情熱を傾けられるものに出会うと、これまで本来の夢ではないものを追いかけていたことにすぐ気づくだろう。そしてあの大きな充実感を味わえば、それを手放したくなくなるはずだ。
P87

なんとなく日々を過ごしてしまっている自分の胸に突き刺さる言葉だった。

テクノロジーと人間

もう一つ印象的だったのが、テクノロジーと人間についてのビズ・ストーンの考え方。

グーグルはテクノロジーに大きな比重を置き、それで成功している。僕の経験したかぎり、グーグルではテクノロジーが第一、人間が第二という順番だ。
僕は逆だと思っている。(中略)テクノロジーがユーザーにとっても従業員にとっても真に意味のあるものになるかどうかは、人がそれをどう使い、世界に変化をもたらすかにかかっている。
P228

グーグルはビズ・ストーンが指摘するとおり、何よりもテクノロジーを信じている会社であるように見える。人間の意志が介入するよりも、適切なアルゴリズムに従ったほうが正しい結果が得られると信じている。検索結果はもちろんそうだし、自動運転への取り組みは、テクノロジーに運転を任せたほうが交通事故を減らせるはずだという信念が感じられる。

それに対して、ビズ・ストーンの考え方は、テクノロジーはあくまでもツールであり、それを意義のあるものにするかどうかは使っている人間にかかっている、というものだ。

どちらの考え方が正しいとは言えないが、グーグルが、Google+のようなソーシャルなサービスで成功できていないのは、このような考え方の違いに原因があるのかもしれないと思った。ソーシャルなサービスが成功するかどうかは、そのコミュニティが広がるかどうかにかかっている。そのサービスを人々がどう使うかが鍵になる。どれだけテクノロジーが優れていても、コミュニティが発展しない限り、そのサービスは失敗に終わる。

Google+のコミュニティは育たず、ツイッターのコミュニティは育った。

ツイッターのコミュニティを育てたのが、著者であるビズ・ストーンだとされている。ビズ・ストーンがツイッターを辞めた後に立ち上げたサービスであるジェリーはいまのところ苦戦しており、ツイッターの成功はただのまぐれ当たりだったのかもしれない。

ただ、テクノロジーがどんどん発展していくこの時代において、あくまでも人間が第一なのだというのは忘れてはいけない考え方だと思う。手綱を握っているのは人間でなければならない。

はじめに書いたように、借金があっても深刻に考えていない(ように見える)ビズ・ストーンの陽気な人柄が文章に現れていて、読んでいる方までポジティブになれるような本だった。おすすめです。

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