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ジャルジャルがM-1グランプリ2017のネタで見せた輝きと課題

M-1グランプリ2017が終わった。いい大会だった。感想を書く。

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M-1グランプリ2017、全体の感想

敗者復活戦

M-1グランプリ決勝当日のお昼に行われる敗者復活戦。準決勝で敗れたコンビが最後の一枠を懸けて争う。

「M-1は準決勝が一番おもしろい」とはよく言われることだが、敗者復活戦もおもしろい。ネタ時間が3分と短いのは残念だけど、テンポよく次から次へとネタが披露されるのを見るのは至福のひとときだ。

アインシュタインとハライチ、天竺鼠のネタが好きだった。

アインシュタインは稲田の衝撃的すぎるビジュアルがどうしても先行してしまうが、オーソドックスながらよくできたネタだった。SUKKYA。好っきゃ!

ハライチは岩井が後半ほとんど黙っているという攻めたネタを披露。

腐り芸人・イワーイがヤケクソでぶち込んできたのだろうか。せっかくだから本気で復活を狙ったネタにしてほしかった気もするが、テレビで鍛えられた澤部のキャラクターが活かされていて良かった。ちなみにTBSラジオ「ハライチのターン!」は今一番おもしろいラジオ番組なので皆さんぜひ聴いてみてください。そして「すべらない話」のスタッフは早く岩井さんをキャスティングしてください。

そして天竺鼠。

久しぶりにネタを見た。やはり川原の存在感はすごい。予備のマイクスタンドを持って登場したのは反則な気もするが、一瞬で場の空気を変えるオーラがあった。「ザ・芸人」という感じがする。ドキュメンタルにもまた出場してほしいな。

視聴者投票で一位となり復活したのはスーパーマラドーナ。投票数で二位のハライチにダブルスコアをつけた文句なしの復活。確かにおもしろかった。

新ルール、笑神籤(えみくじ)

2017年のM-1グランプリの大きなトピックスといえば、笑神籤(えみくじ)という新ルールの導入だろう。

生放送中にMC今田耕司がクジで引いたコンビがそのままネタを披露するという、次に誰が出てくるのか分からない、出場芸人からすると自分たちの出番がいつなのか分からないシステム。

これまでは本番前に抽選でネタ順があらかじめ決められていて敗者復活組が最後に登場するという形だった。敗者復活組が有利という声もありルール変更となったのだと思う。

最初にこのルールを聞いたときは「芸人さんたちがツラすぎるのでは」と思ったが、本番を見ると、皆さんさすがプロ。堂々とネタを披露していた。トップバッターとなったゆにばーす・川瀬名人が控え室から舞台に向かうときにチラっとカメラに写った覚悟を決めた表情がカッコよかった。

とはいえ、やっぱり最高の状態で披露されるネタを観たい。敗者復活の枠も入れて前もって抽選でネタ順を決めるのが一番いいんじゃないかなあ…。

新たなるスター

2016年、M-1グランプリで世界に知られたのはカミナリだった。

2017年は初登場組が多かったのでどんな新星が見られるのか期待していた。…が、大爆発といえるほど強烈な印象を残したコンビはいなかったかな、というのが正直な感想。

もちろん、おもしろいコンビ・芸人はたくさんいた。

ゆにばーすは既に知られている川瀬名人の尖っているイメージとは裏腹にキッチリしたネタを披露。はらちゃんの「翼の折れたエンジェル」は最高だった。

マヂカルラブリー・野田クリスタルはおもしろオーラを醸し出していた。大器の片鱗を感じた。テレビで活躍しそう。

さや香・新山のなんの特徴もない顔が逆に印象的だった。普通すぎて逆におもしろい。大会後の打ち上げ配信で千鳥ノブに「『明徳義塾のバカ』みたいな顔してるな」と言われていたのが最高におもしろかった。まあこれはノブがおもしろいんだけど、イジられやすいキャラというのもひとつの武器だと思う。

とろサーモンの優勝

M-1グランプリ2017 優勝 とろサーモン
M-1グランプリ 公式サイトより)

優勝したのはラストイヤー(コンビ結成15年目)のとろサーモン。

とろサーモンには優勝してほしかったけど、今年は和牛が優勝の流れかな、と思っていた。

優勝が決まった瞬間、村田と久保田が「信じられない」という感じで顔を見合わせていたのは泣けた。クズ芸人・久保田が素直に喜んでいるのを見るとこっちまでうれしくなる。

そのあと他の出場芸人たちが出てきたときに、ゆにばーす・川瀬名人がすごくいい笑顔をしてたのが良かった。この人、ゴッドタンとかで見せるキャラとは違って、本当は絶対いいヤツだと思う。

ちなみに背後に映る和牛・水田の顔はずっと怖かった。

ラストイヤーということが考慮されていた部分もゼロではないと思うが、最終決戦三組(和牛、ミキ、とろサーモン)は本当に拮抗していたので、文句はないだろう。

これを機にとろサーモンが大ブレイクするかは分からない。が、M-1チャンピオンという肩書きを得た久保田がますます面白くなるのは間違いない。「チャンピオンになったのに全然仕事増えへん!」とか言って毒づく久保田の姿が目に浮かぶ。

来年のM-1でディフェンディングチャンピオンとして登場するとろサーモンのコメントが今から楽しみだ。

ジャルジャルが見せた輝きと課題

さあ、ジャルジャルである。

ここまで色々と書いてきたが、2017年のM-1グランプリはジャルジャルを語らずにはいられない。

2009年のM-1、パンクブーブーの優勝よりも記憶に焼き付いている笑い飯の「鳥人」のように、ジャルジャルの繰り出したネタ「変な校内放送(ピンポンパンゲーム)」は強烈な輝きを放っていた。

前半は「アレ?大丈夫?」と思って見ていたが、「ピン!」「背筋伸びてるやん!」を連打するあたりから声を出して笑ってしまった。この日、敗者復活戦、決勝ファーストラウンド、最終決戦、すべてのネタの中で一番おもしろかった。

オール巨人の寸評の通りどちらかというとベタなネタが多かった今大会。最後に登場し挑戦的なネタを披露して爆笑をかっさらうなんてかっこよすぎる。

本人たちも自信があったのだろう。結果が出て敗退が決まった後に福徳がつぶやいた「信じ難い…」という言葉は本心が漏れ出たようだった。最後までボケる後藤も、感情を隠しきれない福徳も、どちらも良かった。

素晴らしいネタを披露した一方、ジャルジャルが優勝するために超えなければならない課題もあらためてはっきりしたように思う。

ただの視聴者が課題がどうとか言うのは完全におこがましいと思うが、勢いで書いていきたい。

ジャルジャルという芸人

今回のジャルジャルのネタを見た松本人志が「(評価が)分かれるね」とコメントしていた通り、ジャルジャルは好き嫌いがはっきり分かれる芸人だ。

YouTubeの公式チャンネルにいろんなネタ動画がアップされている。

例えばこのネタ。

好きな人はずっと笑っていられるが、ハマらない人は苦痛でしかないだろう。

気に入った人はAmazonプライムビデオでDVD「ジャルジャルの戯(あじゃら)」を観ることもできるのでチェックしてみてほしい。

今回のM-1のネタもそうだけど、ジャルジャルのネタを見ると「どうやって作ったんだ、このネタ」と思わさられることが多い。どこをとっかかりに組み立てていったのかが分からない。

他のどんなコンビとも似ていない。そこがスゴい。

課題1: 相性が合わない審査員、中川家・礼二

審査員のなかにもジャルジャルと相性が合わない人がいる。

例えば、中川家・礼二。

礼二はジャルジャルに対して、今大会でも2015年と同じように「大きい展開が欲しかった。同じことの繰り返しに終止している」とコメントし、ほかの審査員と比べると辛口の採点を付けた。

確かに言わんとすることは分かる。

実はそこまでオーソドックスではない中川家の漫才だが、二人の掛け合いで話を進めていくというスタイルは基本に忠実といえば忠実。そんな漫才を追求してきた礼二からすると、ジャルジャルのネタはなかなか高得点を付けられないものだろう。

良い悪いではなく好き嫌いの話といってもいいかもしれない。

もちろん礼二を批判しているわけではなく、賞レースで勝つにはいろんな審査員に認められなければいけないという話だ。

ジャルジャルは、礼二が求める大枠での展開を入れ込んだネタを作るか、好き嫌いを超えて礼二を圧倒するようなネタを作るしかない。

(2018年12月3日追記)
2018年のM-1グランプリで礼二がジャルジャルを認めるようなコメントをした。感動してしまった。

課題2: ファーストラウンドと最終決戦

もしも今回ジャルジャルが最終決戦にコマを進めていたとして、優勝できたかというと難しかったかもしれない。

自分は決勝をまっさらな気持ちで見たいので準決勝までのネタは敢えて見ないようにしているが、ジャルジャルは準々決勝から同じネタをかけ続けていたらしい。

最終決戦にどんなネタを用意していたのかは分からないが、ファーストラウンドの「変な校内放送(ピンポンパンゲーム)」を超えるものだったのだろうか。

2015年のジャルジャルは一本目(ファーストラウンド)で完成度の高いネタを見せ一位通過したものの、最終決戦でも同じフォーマットのネタを繰り返し、最終得票は笑い飯・哲夫が投じた一票だけ。結局、トレンディエンジェル、銀シャリにかわされ三位に沈んだ。

優勝するには優れたネタを二本作らないといけない。

ジャルジャルのように構造・フォーマットの新しさで攻めるコンビにとって、これはとてつもなく高い壁だ。

普通のコンビの場合、コレだというフォーマットがひとつできれば、そこから強いネタをいくつか作ることはそこまで難しくないだろう。しかし、ジャルジャルの場合は、新たなフォーマットを2つ創り出さないといけないのだ。

いつの日か優勝を

中川家・礼二を認めさせる圧倒的なネタを完成させる。
ファーストラウンド用と最終決戦用、2本も。

厳しい。かなり厳しい。

好きな人はいっぱいいるし今のままで十分おもしろいんだから賞レースで優勝しなくても別にいいじゃん、という意見もあるだろう。

M-1の枠にとらわれず自分たちが面白いと思うものを追求してほしいという気もする。

それでも見たい。

ざっくりハイタッチで千原ジュニアや小藪一豊、フットボールアワーに作ってもらったオーダーメイドのスーツを着て喜ぶジャルジャルを、いつの日か見てみたい。

いつの日か、といっても、2003年結成のジャルジャルにとって来年2018年がM-1ラストイヤー。M-1に限っていえば、残されたチャンスはあと一度だけ。

がんばってほしいとしか言えない。

やっぱりM-1はおもしろい

なんか長々と書いてしまったが、やっぱりM-1はおもしろいな、というのが率直な感想だ。

書き忘れたのが今田耕司のMC。最高の仕切り。うますぎる。

困ったときとかここぞというときには松本人志に振っているのがいい。信頼関係を感じた。最近は共演する機会が減ってるけど、今田・松本ラインはやっぱり盤石だよね。

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