東野幸治と西野亮廣の真剣勝負に震えるAbemaTV『エゴサーチTV』#41
君は東と西の野に敢然と立つ二人の芸人を知っているだろうか。
- 東野幸治
- 西野亮廣(キングコング)
である。
そんな両雄が相まみえた。
AbemaTV『エゴサーチTV』第41回(2018年2月16日)だ。
AbemaTV『エゴサーチTV』#41(2018年2月16日)
AbemaTVがおもしろい。
『日村がゆく』は毎週楽しみな番組の一つだし、「千鳥とフジモンのロング革ジャン対決」は冗談抜きで近代日本バラエティ史に燦然と輝く金字塔だと思う。
今回紹介したいのは、キングコング西野亮廣がホストを務める『エゴサーチTV』。東野幸治がゲストとして登場した第41回(2018年2月16日)だ。
これがもう傑作。
『エゴサーチTV』といいながらまったくエゴサーチしてないあたり「ロング革ジャン対決」を彷彿とさせる。
YouTubeに一部抜粋された動画がアップされている。
YouTube版は限定公開でしばらくすると削除される。完全版はAbemaTVで見られるので、ぜひフルで見てみてほしい。1時間弱。以下のリンクから。
PCの場合はブラウザでそのまま見られるし、スマホの場合はアプリをダウンロードすれば見られる。無料だしアカウントを作って登録したりする必要もない。
東野幸治という男
冷徹な眼差しと強靭な芸人力
東野幸治といえば、どこか爬虫類を思わせるその冷えた眼。
感情がないとも評され、家族で飼っていたカメをゴミ箱に捨てたと噂されていた男である(※実際はイヤイヤながらも動物病院に連れて行ってちゃんと埋葬したそうです)。
そして思い出すのが、『ごっつええ感じ』でたびたび見せていた引き締まった肉体。
今はもうさすがに弛んでいるのかもしれないが、MCとしての高い進行能力にはあのころのシャープな筋肉を思わせる強靭な芸人力が垣間見える。
冷徹な眼差しで物事を見つめ、強靭な芸人力に裏打ちされた鋭く的確なコメントで場を支配する男。それが東野幸治だ。
イジられる側からイジる側へ
『ごっつええ感じ』では男性メンバーの最年少だったこともありイジられる側だった東野。
「かた焼きそばドッキリ」や奥さんの前での「全裸ドッキリ」はもはや伝説と言っていいだろう。
しかし時を経て東野はイジられる側からイジる側へと華麗なる転身を遂げた。
忘れてはいけないのが『アメトーーク』の名作「どうした!?品川」。再ブレイクとまではいえないが、低迷していた感のあった品川がこれを機に殻を破ったのは間違いない。
イヤな感じがない東野のイジり
東野が特異な存在なのは、どれだけキビシイことを言っていても東野自身があまり嫌われていない(ように見える)ところだ。
もちろん、東野のことが嫌いな人はたくさんいるだろうが、今回の『エゴサーチTV』でも東野本人が「あまり悪口を言われない」と語っている(44:25〜)。
東野のイジり(攻撃)はあまりイヤな感じがしない。
「毒舌だけど根底には愛がある。だからイヤな感じがしない」というのがこういう場合の常套句だが、東野の場合それも違うような気がする。本当に心の底からバカにしているように見える。
それでもイヤな感じがしないのはなぜなのか。
「アイツのここがダメ。だからいつか失敗する」と(少しでも)相手の不幸を願うのは「呪い」だ。そして「アイツのためを思って言ってやってる」というのは「おせっかい」。どちらも傍から聞いているとイヤな気持ちになる。
確かに東野のイジりは悪口かもしれない。
『革命のファンファーレ』表紙の赤背景に赤い服を茶化したり、ホームレス小谷の眼が信用できないと喝破したり、西野のことをさらっと「元芸人」と言ってみたり。
しかし、「呪い」でもないし「おせっかい」でもない。愛があるかは分からないが、相手のあるがままを認めている。たぶん。
だからイヤな感じがない。
そして、品川にしろ西野にしろイジられる側の東野への信頼が見える。東野ならおいしくしてくれるという信頼が感じられるのもイヤな気がしない理由の一つかもしれない。
そんな東野の最高のイジりが味わえるのが、このAbemaTV『エゴサーチTV』第41回なのである。
キングコング西野亮廣という男
西野のことは好きではない
そして、東野にイジられまくる男、西野亮廣。
『働くキンコン西野』
— 革命と信用のキンコン西野📪 (@nishinoakihiro) 2018年2月18日
https://t.co/T9Wx5qzVqJ pic.twitter.com/F27hw5BeMD
私にとって西野は大好きな存在、ではない。
まず、芸人としての西野。
今でも劇場に立ってネタを披露しているのは偉いと思う。
が、キングコングのネタを見ても「器用だな」と思うだけで感動はしないし、『はねるのトびら』に思い入れもない。
そして、実業家、作家としての西野。
これもあまり琴線に触れない。
『えんとつ町のプペル』も『革命のファンファーレ』もベストセラーになったりと実績を残しているのはすごい。
が、西野が語る、あるいは本やブログに書く戦略に目新しさはない。
「消費ではなく体験の時代」「モノからコトへ」みたいな話は10年以上前から言われていることだし、「絵本の無料公開」のようなフリーミアムモデルも手垢がつきまくっている方法論だ。
本で読んだのか話を聞いたのか自分で考えてそこに至ったのかは分からないが、どこかで誰かが言っていたことの焼き直しばかりに聞こえる。
ついでに書いておくと「ディズニーを倒す」という目標はクレバーな西野らしからぬイマイチな目標だと思う。
が、西野のことは嫌いでもない
かといって、西野のことは嫌いでもない。
イジられている西野は大好きだ。
『ゴッドタン』で劇団ひとりに服をビリビリに破かれる西野。
『にけつッ!! 』でジュニアとケンコバに『えんとつ町のプペル』のオチを読み上げられる西野。
ラジオで千鳥に「西野が吉本の本社に贈ったクリスマスツリーはプペル感が強すぎてダサい」と酷評される西野(これは西野本人がいないところでの話だけど)。
どれも最高だ。
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西野がエライのは「イジられしろ」すなわち「イジられる余白」を残しているところだ。フトコロが深いと言ってもいい。
そもそも今回の『エゴサーチTV』は西野がホストを務める番組。いわばホームに東野を招き入れている。イジられまくるのが分かっているのに。
これも「まわりの力を利用する」「他人の時間を自分のために使わせる」という西野のしたたかな戦略なのかもしれないが、裏にどんな打算があろうとも、実力のある芸人たちに料理される西野は本当におもしろいし、嫌いになれない。
そんな西野の最高のイジられが味わえるのが、このAbemaTV『エゴサーチTV』第41回なのである。
さいごに
お分かりいただけただろうか。
東野幸治と西野亮廣、両者の素晴らしさを存分に堪能できるのがこのAbemaTV『エゴサーチTV』第41回なのだ。
AbemaTV『エゴサーチTV』第41回はみんなが観るべき傑作。
強く伝えたいから太字にしました。