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『青春高校3年C組』を見て思う「テレビの終わりと始まり」

2018年4月から始まったテレビ東京『青春高校3年C組』がすごい。

MCを務める芸人の豪華な顔ぶれもすごいが、ネットでの配信体勢がすごい。

「テレビ離れ」あるいは「テレビ番組(コンテンツ)の視聴方法の多様化」といったことはずいぶん前から言われていると思うが、『青春高校3年C組』を見て「ついにここまで来たのか」と思ったので書いておきたい。

かなり早い段階で『青春高校』関係なくなっちゃうけどご了承ください。

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テレビ東京『青春高校3年C組』がすごい

2018年4月から始まったテレビ東京『青春高校3年C組』。月〜金の17:30-17:55に生放送されている。

プロデューサーは『ゴッドタン』や『キングちゃん』などを手がける佐久間宣行氏。千鳥ノブ曰く、抑揚のない太ジーパンを穿く男である。

MCのラインナップがすごい

MCを務める芸人のラインナップがすごい。

  • 月:メイプル超合金
  • 火:バイきんぐ・小峠英二 / 千鳥(隔週)
  • 水:三四郎
  • 木:おぎやはぎ / バカリズム(隔週)
  • 金:バナナマン・日村勇紀

本来のターゲットである中高生よりもお笑い好きのおっさん向けのキャスティングのような気もするけど、夕方30分の生放送とは思えない豪華な顔ぶれ。

まだ始まったばかりだが、これだけの芸人が毎日生放送をするのだから近い将来ミラクルな瞬間が訪れるだろう。

ちなみに、4月2週目まで観た時点では三四郎の小宮がラジオ『三四郎のオールナイトニッポン0』で生徒候補者のバズリーに大人気なくキレてたのが一番おもしろかった。番組本編じゃないけど。

ネット配信体勢がすごい

もう一つすごいのがネットでの配信体勢。

ありとあらゆるネット配信プラットフォームで生放送と同時に生配信されている。

「ネットでテレ東」では見逃し配信もされている。今のところ放送日から1ヶ月間は配信される模様。無料。

これだけの数のサイトで生放送と同時に生配信されるテレビ番組はこれまで無かったのではないだろうか。おぎやはぎもラジオで「すごい」と言っていた。

テレビ東京の系列局がない地域の視聴者にリーチするための手段でもあるのだろうが、視聴率という指標を考えれば明らかにマイナスな施策を打てるのはすごい。

テレビ東京だからこそ思い切ったことができたのかもしれない。佐久間プロデューサーが言うところの開き直り仕事術。

テレビ受像機とテレビ番組の分離

『青春高校3年C組』という一つの特殊な番組の話とはいえ、テレビ番組がここまで多くのサイトで公式に配信されるようになった状況で頭に浮かぶのが、「テレビ受像機(=家電としてのテレビ)」と「テレビ番組(=コンテンツとしてのテレビ)」についてだ。

「テレビ受像機」と「テレビ番組」の密結合は終わりを迎えつつある。

「テレビを見る」「テレビを見ない」

テレビが誕生してから長いあいだ、「テレビを見る」というのは「(テレビ受像機で)テレビ(番組)を見る」という意味だった。

テレビ番組以外でテレビ受像機に映るのはビデオ(家庭で録画したテレビ番組、または、映画などのパッケージソフト)とテレビゲームくらいだった。

同様に「テレビを見ない」というのも「(テレビ受像機で)テレビ(番組)を見ない」という意味だった。

が、最近では状況が変わってきた。テレビ受像機以外でテレビ番組を見る手段が増えてきたからだ。

テレビ局各社が正規の配信サイトを運営している。

一方でYouTubeには第三者が無断でアップロードしたテレビ番組が溢れている。

YouTubeの急上昇ランキングにはテレビ番組がたくさん並んでいるし、Twitterのトレンドにもテレビ番組関連のワードが並ぶ。

したがって、「テレビを見る人が減った」というのは「テレビ受像機でテレビ番組を見る人が減った」ということであり、「テレビ離れ」は正確には「テレビ受像機でテレビ番組を見るという視聴形態離れ」といえる。

絶対値としてテレビ番組の視聴時間が減っているのは確かだろうが、何らかの形でテレビ番組を見ている人はまだまだいる。

テレビ番組制作者とテレビ放送の分離

テレビ番組の視聴方法の多様化に加えて大きな流れとして見逃せないのが、NetflixやAbemaTV、Amazonプライム・ビデオのようなオリジナルコンテンツを制作するプラットフォーマーの登場だ。

特に日本のテレビ番組という観点ではAbemaTV、Amazonプライム・ビデオの存在は大きい。

これまでテレビ局(あるいはその周辺の制作会社)でテレビ番組を作ってきたスタッフやその出演者(芸人)たちがテレビ放送以外のフォーマットで本気でコンテンツを生み出すようになった。

テレビ番組制作者とテレビ放送の分離」が始まっていると言ってもいい。

日本のアニメクリエイターとNetflixのオリジナルアニメも似たような関係・文脈だと思うが、アニメのことはよく知らないのでここでは触れない。

Amazonプライム・ビデオ

個人的にいわゆる「インターネット番組」に対する見方を変えさせられたのが、Amazonプライム・ビデオの『ドキュメンタル』だった。シーズン1の配信が2016年11月に始まり、2018年4月現在シーズン4まで制作されている。

シーズン3のオードリー春日には誇張抜きで度肝を抜かれた。

ダウンタウン・松本人志と組んでこの番組を創り上げたのが元フジテレビの小松純也である。

Amazonプライム・ビデオではほかにもダウンタウン・浜田雅功、さまぁ~ず、千原ジュニア、野性爆弾などがオリジナルコンテンツを配信している。

AbemaTV

そしてサイバーエージェントが手がけるインターネットテレビ、AbemaTV。

運営会社はサイバーエージェントとテレビ朝日が出資した株式会社AbemaTVで、コンテンツ製作の主軸を担っているのはテレビ朝日のスタッフたち。

地上波のTV番組に比べると若干チープな感はあるものの、面白い番組は間違いなく面白い。

上の関連記事で挙げた二つの番組『フジモンが芸能界から干される前にやりたい10のこと』『日村がゆく』に制作協力としてクレジットされているのはシオプロ。『水曜日のダウンタウン』や『ゴッドタン』など地上波の人気番組にも関わる制作会社である。

テレビの終わりと始まり

「テレビ離れ」に代表されるように、最近は「テレビ」という言葉にマイナスのイメージが付いて回ることが多い。

確かに「テレビ(受像機とテレビ番組が一体であった時代)の終わり」はもう現実のものとなっている。「テレビ受像機とテレビ番組が一体であること」を前提としたビジネスモデルから脱却できていないテレビ局の苦境は続くだろう。

しかし、視聴者や番組制作者にとっては選択肢が増え、むしろ明るい時代が到来したようにも思える。

  • ネット配信の広がり
    • 視聴者がテレビ番組をテレビ受像機以外で見る手段の増加
  • AbemaTVやAmazonプライム・ビデオなどの登場
    • 番組制作者がテレビ放送以外のプラットフォームでコンテンツを作る機会の増加

海外で連ドラ(ドラマシリーズ)がBinge Watching(イッキ見)という新たな視聴形態とともに再び黄金時代を迎えたように、日本のテレビ番組(特にバラエティ番組)が進化するチャンスなのかもしれない。

テレビ(番組制作者がこれまでのテレビの制約から解放される時代)の始まり」はまだまだこれから。

ここまでテレビについて書いておいてなんだが、自分もテレビ受像機でテレビ番組を見る時間は減った。朝も夜もとりあえずテレビをつけるということはなくなったし、リアルタイムでテレビを見ることはほとんどない。

が、今でも毎週楽しみにしている番組はいくつもあるし、そういう番組は真剣に見ている。

おもしろいテレビ番組があればつまらないテレビ番組もある。それは昔から変わらない。

そして、大画面テレビで見ようがスマホで見ようが、テレビ放送だろうがインターネット配信だろうが、おもしろいコンテンツはおもしろい(大画面で見たほうがおもしろいものもあるけど)。

書いてるうちに『青春高校3年C組』と関係なくなってしまったが、狭義のテレビの制約から解放されたテレビ制作者たちの渾身のコンテンツを楽しみにしている。

『めちゃイケ』が終わった片岡飛鳥さんとか、小松純也さんみたいにAmazonプライム・ビデオかどこかでなんか作ればいいのに。

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