岡崎体育マジで天才説〜名曲「スペツナズ」と「鴨川等間隔」を聴け!
NHKは紅白に岡崎体育を出すべきだった
年の瀬ですね。
なんだかんだいって出場者や司会者が発表されるだけでニュースになるんだから、やっぱり紅白はスゴい番組だと思う。
2017年の紅白歌合戦出場者一覧を見ていて思ったことがある。
NHKはなぜ岡崎体育を紅白に出さなかったのか、ということだ。
ゴールデンボンバー的な枠でいいからブッキングしてほしかった。きっと岡崎体育なら期待に応えて盛り上げてくれたはずなのに。
「MUSIC VIDEO」や「Explain」、「感情のピクセル」など一発屋感のあるネタっぽい曲やそのミュージックビデオで知られる岡崎体育だが、この人は実はマジで天才なんじゃないかと思っている。
岡崎体育の名曲を2曲紹介したい。
スペツナズ
まずは「スペツナズ」。
インディーズ時代のアルバム『FICTIONAL ZODIAC』(2013年)に収録されていた曲だが、メジャーデビューアルバム『BASIN TECHNO』に再録されている。
細かいドラムパターンに絡むピアノとギターの調べが心地いい。切ない。オートチューンで加工されたボーカルも雰囲気に合っている。
ドラムは生音っぽく聞こえるけど打ち込みだそうです。
いやーすごい。スペツナズを人力で叩ける人がいるとは思わなんだ。フロアタムを左に置くのか。なるほど。
— 岡崎体育 (@okazaki_taiiku) 2016年7月14日
タイトルのスペツナズはロシアの特殊部隊の名前。歌詞は深読みしようと思えばいくらでも背後のストーリーを考察できそうな意味深なもの。なんとなく内戦が続く東欧の情景が思い浮かんだが、解釈や受け止め方は人それぞれだろう。
「全脳帝」とか「シルバーファング」とか世界観や裏設定をガッチリ考えてありそうなあたり、岡崎体育のオタク気質が全面にあらわれているような気がする。
下の方までスクロールして返信を表示しないと見つからないが、「全脳帝」についてYouTubeのコメントで本人自ら説明している。
全脳帝です。僕が作った架空の帝王で、肉体が無くて脳味噌がカプセルに入っいるだけの見た目をしています。国民はそれに操られている感じのやつです。
岡崎体育 - スペツナズ 【Music Video】 - YouTube
中学生の妄想みたいな感じがいい。フロントミッションやR-TYPEを思い出す。
こういうのを中二病とか言って笑うヤツには、お前も昔は中二だっただろうが、と言ってやりたい。アーティストが若かりし頃の妄想を作品に込めて世に出すなんて最高じゃないか!
鴨川等間隔
そして「鴨川等間隔」。
「スペツナズ」と同じくもともとはインディーズ時代のアルバム『FICTIONAL ZODIAC』(2013年)に収録されていた曲。再レコーディングされてメジャーセカンド・アルバム『XXL』に改めて収録されている。
YouTubeにインディーズ時代に制作されたミュージックビデオがアップされている。
このMVが最高だ。
チープなことこの上ない手作り感が、大学生の日記のような何にも起こらない歌詞に絶妙にマッチしている。
「売店でヤンマガ買って」という歌詞がありながら、MVで読んでいるのは『地方公務員試験の問題集』と『世紀末リーダー伝たけし!』。さらに「PSPを起動しレベルを上げてしまうぜ」と歌いながら、MVで遊んでいるのはゲームボーイカラーのポケモン。
歌詞を映像化しようという気はまったく感じられない。が、歌の主人公とビデオの中の岡崎体育は完全にシンクロしている。ビデオの中のコイツならきっとこんな歌をうたうんだろうな、という圧倒的な説得力がある。
自分で曲を書いて自分で歌ってる姿をビデオに撮ってるんだから当たり前だろ、と思うかもしれないが、このシンクロ率の高さはそのへんの自分語り系シンガーソングライターの比ではない。
ちなみにロケ地は鴨川ではなく宇治川。「そこは鴨川で撮れよ」と思うが、きっと宇治川のほうが家から近かったんだろう。実家は宇治だし。
…
初期のくるりを意識しているであろうギターがまたイイ。京都感としか言えないこの雰囲気は一体どこから生まれるのだろうか。京都で大学生活を送れば身につくものなのだろうか。やっぱり京都で生まれてないとダメなのかな。
『XXL』バージョンは再レコーディングされたということで、小綺麗な音像になっている。歌詞にマッチしているのはYouTubeにアップされているインディーズバージョンかもしれない。
岡崎体育の本気の直球が楽しみ
「MUSIC VIDEO」みたいなある種バズを狙った曲(動画)と「スペツナズ」や「鴨川等間隔」のようなマジメな曲が同居しているのが、岡崎体育のスゴいところでありエライところでありクレバーなところだ。
本人もインタビューでそれを語っている。
今の時代、音楽を主張するだけではダメだと思ってて。岡崎体育の音楽を知らないお客さんの層に、僕のCDをレジまで持って行ってもらうのは難しいかなと思ってるんです。だからまずは面白い動画で注目してもらうことから始めようと。
…
「スペツナズ」とか「エクレア」とか真面目に作った自信作も世の中の人に聴いてもらうためには、岡崎体育という存在をまずは広めなきゃいけない。それを考えたとき、映像って一番とっつきやすいんですよね。
岡崎体育「BASIN TECHNO」特集 (3/4) - 音楽ナタリー 特集・インタビュー
いつの日か、ド真ん中を狙う直球ストレートのような名曲を届けてくれるだろう。
メジャーというフィールドに立ったとき、道化として生きる葛藤があった。
— 岡崎体育 (@okazaki_taiiku) 2017年12月1日
プライドは捨てたと思っていたけど、新しいプライドを拾った気もする。
道化のプライドを胸に。
俺は岡崎体育。
楽しみだ。