発売20周年で振り返るRadiohead「OK Computer」
今年、2017年はRadioheadの名盤OK Computerの発売20周年。
それを記念してか、ヨーロッパの各国で謎の看板が掲示されている。書かれているのはFitter Happierの歌詞に通ずるようなメッセージ。
OK Computerの発売日は1997年5月21日(日本)、6月16日(イギリス)、7月1日(アメリカ)。20周年の今年は何かが起こるのだろうか。
(2017/05/03 追記)
6月23日に「OK COMPUTER OKNOTOK 1997 2017」という2枚組の記念盤が発売されることが発表された。
今回はこの名作の思い出を語りたい。
衝撃のファーストコンタクト
OK Computerを初めて聴いたのは確か高校1年生のとき。
当時はまだ洋楽に興味を持ち始めたくらいの時期で、Pablo Honeyは聴いていたけどThe Bendsはまだ持っていなかった。他に聴いていたのはOasisのDefinitely MaybeとMorning Gloryぐらい。Pablo Honeyはあまり評価されていないっぽいけど、洋楽を聴き始めたばかりの自分には親しみやすいメロディーで好きだった。
ある日、なんかの雑誌に書かれていた紹介記事でOK Computerが世紀の大傑作と激賞されているのを読んで輸入盤を買って聴いた。
最初は「何だこれは」と思った。初っ端のAirbagのイントロのギターの音で、これは今までに聴いたことがない音楽だと思った。テレビで流れている日本のバンドの音とはまるで違うし、同じRadioheadと比べてもPablo Honeyのポップな感じとはまったく違っていて戸惑った。
さらに戸惑ったのが2曲目のParanoid Android。目まぐるしく変わっていく曲調についていけなかった。意味が分からなかった。買ったのが輸入盤だったので対訳もなく歌詞の意味もサッパリだった。
初めて聴いたときから比較的すんなり受け止められたのが、4曲目から6曲目のExit Music、Let Down、Karma Policeの並び。暗いけど美しく、これは確かに名作なのかもしれないと感じた。他の曲も好きだけど、この3曲は当時から今まで変わらずトップクラスで好きだ。
一通り聴き終わって異様に疲れたのを覚えている。濃密な情報量を脳が受け止められない感覚。自分の理解の及ばないすごいものを聴いたと思った。
よくわからないけど止められず、しばらくエンドレスリピートで聴き続けていた。
ツルツルの歌詞カード
ミスチルの深海でも書いたけど、CDを買っていた頃は音楽だけでなく歌詞カードとかジャケットのアートワークも一緒に記憶に残っている。
OK Computerも例外ではなく、歌詞カードのことをよく覚えている。ザラザラしていた深海の歌詞カードとは真逆で、OK Computerの歌詞カードはツルツルしていて肌触りが良かった。
無機質なフォントもOK Computerの世界とすごくマッチしていて好きだった。Fitter Happierの歌詞を書くならこのフォントしかないと思う。
Google Play MusicとかSpotifyみたいなストリーミングサービスは確かに便利だけど、その便利さの裏側で色んな体験が失われているとも感じる。
例えば、すぐに検索することに慣れてしまうと、「あれってなんだっけ」としばらく考えてから「あっ!」と思い出してシナプスが繋がったように感じる瞬間の快感が失われてしまうような。
ないものねだりかな。
Let Downで昇天
ものすごく個人的な記憶を書きたい。
OK Computerで忘れられないのが布団も敷かず固い床にうつ伏せで寝っ転がりながらLet Downを聴いていた時のこと。
疲れて半分寝ているような状態で聴いていたら、4:00〜の大サビのところで幽体離脱したような感覚になった。幽体離脱したことはないけど、そんな感じ。天にも昇る心地。
その感覚をもう一度味わいたくて、同じような状況で眠りにつきそうな時を見計らってLet Downを聴いてみたりしたけど、結局そのあと一度も同じような体験は出来ていない。
あれは何だったんだろうか。夢だったのだろうか。
全人類必聴!
発売から20年ということで、もうクラシックといってもいい域。緻密に構築された音像はギターロックの頂点といっていい作品だと思う。
まだ聴いたことのない方は、騙されたと思ってぜひ一度は聴いてみてほしい。