天才、ロバート秋山竜次の凄さは演技力ではなく観察力にある
2018年3月26日にルミネtheよしもとで行われた『ロバート秋山&ポイズン阿部のいかがわしい夜~春分~』を観た。
ロバートの秋山竜次とPOISON GIRL BANDの阿部智則(ロン毛のほう)がいかがわしい話をしまくるライブ。
阿部ちゃんもゲストで登場した銀シャリの鰻も面白かったんだけど、秋山の天才性をあらためて垣間見たのでそれについて書こう。今さらだけど。
天才、ロバート秋山竜次
ロバート秋山竜次は天才だ。
どれくらい天才かというと、Googleで「ロバート秋山」と検索すると関連キーワードに「天才」が出てくるほど。世界の情報を牛耳るGoogle先生お墨付きの天才と言っていい。
これは「ロバート秋山 天才」で検索されている回数が多い証拠。
世間が認めた天才、それが秋山竜次だ。
キングオブコント2011優勝
秋山率いるロバートはキングオブコント2011で優勝している。
賞レースではまだ世間に知られていない芸人のほうがインパクトがあり有利だと言われているが、既にテレビで活躍しているロバートがそのネタの確かなクオリティを見せつけ優勝した。
ロバートのネタ作成者はもちろん秋山。
実績を伴った天才、それが秋山竜次だ。
ロバート秋山の「クリエイターズ・ファイル」
最近、ロバート秋山の天才っぷりを世に知らしめた作品といえば『ロバート秋山の「クリエイターズ・ファイル」』だろう。
ロバート秋山が各界の架空の著名人に扮し『情熱大陸』や『プロフェッショナル』風のインタビューに答えるという動画。YouTubeで公開されている。
憑依芸人とも呼ばれる秋山の天才っぷりが遺憾なく発揮されている。
創作活動の3つのフェーズと天才の条件
秋山がなぜ天才なのかを語る前に一般的な話をしよう。
創作活動の3つのフェーズ
あらゆる創作活動は3つのフェーズに分類される。
以下の3つだ。
- Input(インプット): 入力
- Process(プロセス): 処理
- Output(アウトプット): 出力
それぞれのフェーズにはWhat(何を)、How(どのように)のようにさらに細かい要素が含まれる。
はっきり分かれているわけではなくそれぞれが繋がり合っているし、切り口はほかにもあるだろうが、この3つにざっくり分けることで「すごい」と思う対象の何が「すごい」のかが分かりやすくなる。
例えばトークが面白いという場合。
- 題材が面白いのは入力が優れている。
- 構成が面白いのは処理が優れている。
- 話し方が面白いのは出力が優れている。
同じ出来事でも話す人によって面白さが違うのは入力が同じでも処理と出力の能力に差があるからだ。同じ出来事から違うことを入力しているのかも知れない。
創作活動の範疇に入るかはわからないが、スポーツでも同様。
- 状況を判断する能力は入力。
- どう動くかイメージする能力は処理。
- イメージ通りに動く・動かす能力は出力。
出力として自分の体を動かす能力が高い人は選手として成功するし、イメージを選手たちに伝えることができてその通りに動かせる人は監督として成功する。
名選手と名監督が必ずしも一致しないのは必要とされる出力の種類が違うからだろう。
天才の条件
私が思う「天才の条件」は、そんな創作活動の3つのフェーズ「入力・処理・出力」の少なくとも一つの能力が卓越していることだ。
入力・処理・出力すべてが優れている人は間違いなく天才だし、一つでも突き抜けたものがあると「この人は天才だ!」と思う。
ロバート秋山、驚異の観察力
さて、ロバート秋山である。
秋山はなぜ天才なのか。どこが天才なのか。
創作活動の3つのフェーズ「入力・処理・出力」の少なくとも一つの能力が卓越しているのが天才の条件だと書いた。
秋山の凄さは入力だと思う。
処理(ネタをまとめる能力)や出力(演技力)も優れていると思うが、何よりも常人離れしているのは入力だ。観察力・洞察力といってもいい。
秋山竜次の観察力・洞察力は群を抜いている。凡人が見逃してしまうようなものごとから面白さを見つけ出す力にこそ秋山の天才性が発揮されていると私は思う。
小学生版画クラブ
例えばロバートのネタ「小学生版画クラブ」。
「小学生の版画のタッチって独特で不気味だな」という発見。
言われてみれば誰もが「確かに」と思うことだが、普通の人はそんなところに引っかからない。
おそらく秋山はどこかで掲示されていた小学生の版画作品を見て「これは面白い」とピンときたのだろう。その能力。何気ないものにピンとくる能力。これがすごい。
その発見をネタに昇華する能力(処理)も版画のタッチを自らの体で表現する能力(出力)も驚異的だが、すべての起点となるのはすば抜けた観察力(入力)なのである。
体モノマネ
そして「体モノマネ」。
最近ではTシャツになっている。
「体モノマネ」といいながら厳密には別にモノマネしているわけではなく、秋山の特徴的な体つきに似ている人(梅宮辰夫とか)をチョイスしている。野性爆弾くっきーの白塗りモノマネについて書いたときにもちょっと触れた。
これも「(自分の体は)梅宮辰夫の体に似てるな」という発見から生み出されたものであり、秋山の類稀なる観察力が発揮されたネタだと思う。
ナイロンDJとバイブDJ
そんな秋山の観察力から生まれたネタで死ぬほど面白かったのが、冒頭で書いた『ロバート秋山&ポイズン阿部のいかがわしい夜~春分~』で秋山が披露した「バイブDJ」だ。
現時点(4月)で2018年いちばん笑った。
内容を詳しく書いても本来の面白さの1%も伝えられないので詳細説明は避けるが、ロバートのネタ「ナイロンDJ」のバイブ版だと思っていただければ間違いない。
「ナイロンDJ」も秋山の観察力が爆発したネタだ。「ナイロンの摩擦音とDJのスクラッチ音って似てるな」という発見。
「バイブDJ」がテレビで放送されることはないだろうが、もっとたくさんの人に見られるべきネタだと思う。YouTubeでもDVDでもなんでもいいから映像化されて多くの人に見てほしい。
秋山の目で世界を見てみたい
秋山竜次は天才であり、その凄さの源泉は観察力・洞察力にある。
天才と呼ばれるお笑い芸人には観察力に優れている人が多い印象があるが、その中でも秋山はトップクラスだ。
…
一日だけ誰か別の人になれるなら、秋山になってみたい。秋山の目で世界を見てみたい。
きっと普段の自分では気づかない様々な情報が脳内に流れ込んでくるのだろう。