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水曜日のダウンタウン(2017-10-11)に俺ギャラクシー賞を贈りたい

感動した。

おもしろいを通り越して感動を覚えた。

2017年10月11日に放送された『水曜日のダウンタウン』だ。

もしも俺にギャラクシー賞を贈る権利があったなら、ぜひ贈りたい。俺ギャラクシー賞は『水曜日のダウンタウン(2017年10月11日放送回)』で決まりだ。

2本立てだったが、どちらの企画も素晴らしかった。

PUNPEEの新譜『MODERN TIMES』発売記念オープニングという特別感も含めて、最初から最後までずっと濃密。放送時間58分くらいやと思うんやけど、もう、58分の使い方、バツグン。58分の使い方に感動したね。

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リアル・スラムドッグ$ミリオネア

1本目の企画は「リアル・スラムドッグ$ミリオネア」。

内容は以下の通り。

本日10月11日(水)放送の「水曜日のダウンタウン」(TBS・MBS系)にて「リアル・スラムドッグ$ミリオネア」と題した企画が実施され、千鳥ノブ、三四郎・小宮、矢口真里が出演する。

映画「スラムドッグ$ミリオネア」の名を冠したこの企画で3人に出題されるのは一見普通のクイズだが、その答えはすべて彼らが1週間内に体験した出来事の中にあった。果たしてその構造に気付き、タクシー運転手や番組で共演した芸能人が何気なく言っていた答えを思い出してクイズに全問正解できるのか。
ノブや小宮出演のクイズ企画、正解は1週間で体験した出来事の中に - お笑いナタリー

まず、企画が秀逸。『ドッ喜利王』や「もしも自分のネタと同じ状況になったら…」に連なる系譜。

こういう企画を見ると、考えた人すごいな、と素直に思う。思いついた瞬間うれしかっただろうし、会議は盛り上がっただろうなあ。

ノブの奥さんに電話して正解を導き出すところなんかはあまりにもうまく行き過ぎで「仕込み?」とも思ったが、きっと様々な展開をシミュレーションしていて、どうなっても最後までうまくいくように用意周到に準備されていたのではないだろうか。もしテレフォンがダメそうだったらそれ以外のライフラインを使わせるとか。

三四郎・小宮が大活躍だった。いろんなことをちゃんと覚えているあたり、頭も性格もいいんだろうな、と思った。全問正解を成し遂げて、「オッケー!やったー!」と素直に喜ぶ姿がなんか可愛かった。

そして最後のオチ。最高。やられた、と思った。

寝たら起きない王決定戦

2本目は「寝たら起きない王決定戦」。

「寝たら起きない王決定戦」も開催され、バイきんぐ、野性爆弾くっきー、安田大サーカス・クロちゃんらが参加。クロちゃんの新たな一面も「モンスター編」と題して紹介される。
ノブや小宮出演のクイズ企画、正解は1週間で体験した出来事の中に - お笑いナタリー

こちらも面白かった。

アルコールが入っていないジミー大西の寝起きがよくサクッと起きてしまう、というオチが良かった。せっかくロケに出向いた野性爆弾・くっきーがかわいそうだった。

バイきんぐ・西村がさらっと披露した「1000ピースのパズルを15年やってる」という奇人エピソードが気になって仕方がない。繰り返しやっているのか、15年かけてまだ完成していないのか。どちらにせよ奇人。

そしてなにより「クロちゃんモンスター編」。あまりにも強すぎる衝撃。途中で何を見てるのか分からなくなった。バラエティというよりドキュメンタリーというべきだろう。

安田大サーカス・クロちゃんがすごい

『水曜日のダウンタウン』おなじみの、安田大サーカス・クロちゃん。

いまや目隠しでインタビューされてしまう男、クロちゃん。

嘘ツイート監視企画もまだ記憶に新しいが、今回のモンスターっぷりはそれ以上の衝撃だった。

蠢きながらベッドの下に潜り込んでいくクロちゃん。咆哮をあげながら蠢くその姿は『風の谷のナウシカ』の王蟲のようだった。もはや人間ではない。

見ているうちに寝起きがどうとかどうでもよくなってくるトリップ感が麻薬的な映像だった。いつの間にか知らないところに連れて来られてしまったような感覚。編集次第では人間の闇に迫るドキュメンタリーにもなるし、ホラーにもなるだろう。

完全版をYouTubeで公開してほしい。なんかの研究に役立つんじゃないだろうか。なんの研究かは分からないけど。

それにしても、クロちゃん。いや、黒川明人。

ホントに一体なんなんだろうか、この男は。大丈夫なんだろうか。一回ちゃんと検査してもらったほうがいいのではないだろうか。生でアレを見た小宮とスタッフ、引越し業者はトラウマにならなかっただろうか。心配だ。

そりゃ怖いよ。

今回を超えるのは難しいと思うけど、クロちゃんの次回作にも期待したい。

藤井健太郎がすごい

強烈な作家性を持つ男、藤井健太郎

『水曜日のダウンタウン』を観ると毎回思うのが、藤井健太郎はスゴい、ということだ。

藤井健太郎。『水曜日のダウンタウン』の演出を務めている人物だ。

もちろん藤井さんだけではなく、周りのスタッフ含めたチームが優秀なんだろう。

が、それでもやっぱり核になっている藤井さんのパワーがこの番組を特別なものにしていると思う。『クイズ☆正解は一年後』とか『芸人キャノンボール』とか、他の担当番組を見ても強烈な作家性を感じる。

「リアル・スラムドッグ$ミリオネア」最終問題

今回でいうと「リアル・スラムドッグ$ミリオネア」の最終問題だ。

正解は「イワキユリ」。ノブ、矢口、小宮は林家パー子の本名だと予想したが、実は前の問題でサラッと出てきたアイドルの名前。視聴者もついさっき聞いていた名前だった。

答えはそれまで経験したことの中にある。視聴者も「リアル・スラムドッグ$ミリオネア」の構造に引きずり込まれているのだ。

自分も「マスカット」と「歯抜け」で「イワキユリ」だろうなというのは分かったが、それがアイドルの名前だとはまったく気づかなかった。ほんの数分前に聞いていたはずなのに全然覚えていなかった。「イワキ」だからもしかすると「井脇ノブ子」の本名なのかな?とか思ってた。

視聴者が傍観者であることを許さない。藤井ワールドだ。

藤井さんのしてやったりという顔が目に浮かぶ。やられた。

博多大吉がアイドルに指示するヤツとかものまね芸人がアテレコするヤツとか、これまでもいろんな仕掛けがあったが今回のはうまかった。こういうことを思いつく人は本当に尊敬する。

ちなみに、ピンキーポーカー・岩城優里さんの読み方は「イワキユリ」ではなく正しくは「イワキユウリ」だそうです。実在するアイドルだったんですね。

ダウンタウン・松本人志がやっぱりすごい

最後に、ダウンタウン・松本人志。

この人もやっぱりすごいな、と思った。

すべてを理解したコメント

「リアル・スラムドッグ$ミリオネア」の最終問題、「イワキユリ」がアイドルの名前だと明かされたあとのコメント。

松本「だからVTRも我々ちゃんと見てないねん」

仕掛けの構成と意図を完全に理解した一言。即座にこのコメントが出てくるのはすごい。スタッフ側、作家側の視点に立っている。

(追記)
2017年12月20日放送回の「暑いと寒い、結局寒いの方がツライ説」でのコメントもすごかった。

暑くなる部屋と寒くなる部屋で「少々お待ちください」と言われて待たされたときどちらが長く耐えられるかという企画。部屋から出たところに落とし穴が用意されていて、耐えきれずに出てしまうと落とし穴に落ちる。

以前の待ち企画で6時間待った変態・オードリー春日が数日のインターバルをはさんで暑くなる部屋と寒くなる部屋両方で検証された。

当然、春日も『水曜日のダウンタウン』の企画であることに気付いていて、その上でのスタッフとのやり取りなんかも面白かったのだが、VTR後の松本のコメントにしびれた。

松本「どうせなら最後の春日は落とし穴無しにしたったら面白かった」

確かに。

言われてみれば確かにそっちのほうが面白い。

一瞬でその答えにたどり着く松本人志が恐ろしい。スタッフの皆さんは悔しかったんじゃないだろうか。

松本人志の構成力

藤井さんが松本人志のこういった能力について語っている記事がある。

その発想自体が特別なわけではありません。時間をかければ僕らでも気づいたかもしれませんが、そこに至るスピードが、ディレクターや作家たち、その場にいた誰よりもずば抜けて速かったことに素直に驚きました。

たくさんの芸人さんと仕事をしてきましたが、こういったスタッフ目線、特に企画ではなく構成の力がある人は本当に特殊です。
松本人志の圧倒的な打率と類い稀な構成力|悪意とこだわりの演出術|藤井健太郎|cakes(ケイクス)

面白いのでぜひ読んでみてほしい。

ちなみに、上の記事は藤井さんの著書『悪意とこだわりの演出術』の抜粋。さらに詳しく藤井ワールドに触れたい方は『悪意とこだわりの演出術』もおすすめ。

さいごに

スペシャルでもなんでもない通常回にこのクオリティのものが見れる。なんて幸せなことだろうか。

本家のギャラクシー賞も獲るんじゃないかな。獲ってほしいな。

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